オールオン4を検討している方へ。多くの歯を失った場合に、4本のインプラントで片顎すべての歯を支える治療法です。総入れ歯のような着脱が不要で、手術当日に仮歯が入ります。一方で費用は片顎200〜600万円と高額で、残っている歯を抜く必要があるなど、事前に理解しておくべき条件もあります。現役の歯科医院経営コンサルタント(TOSHI)が、費用の内訳から医院選びまで整理しました。
この記事の結論
- 費用は片顎200〜600万円。1本ずつ埋入するより本数が少なく済む
- 手術当日に仮歯が入るため、歯のない期間がほぼない
- 固定式なので着脱不要。総入れ歯のような違和感が少ない
- ただし残っている歯は原則すべて抜く必要がある
- 対応できる医院が限られるため、医院選びが治療の成否を分ける
オールオン4とは何か
オールオン4(All-on-4)は、片顎あたり4本のインプラント体で、12本前後の人工歯を支える治療法です。1999年にポルトガルのマロ医師が発表した術式で、日本でも多数の歯を失ったケースで選択されています。
通常のインプラントとの違い
| 項目 | 通常のインプラント | オールオン4 |
|---|---|---|
| 埋入本数 | 失った歯の数だけ | 片顎4本 |
| 適応 | 1本〜数本の欠損 | 多数歯欠損・総義歯相当 |
| 費用(片顎12本相当) | 360〜780万円 | 200〜600万円 |
| 仮歯が入るまで | 3〜6か月 | 手術当日 |
| 骨造成 | 必要な場合が多い | 回避できるケースがある |
多数の歯を失っている場合、1本ずつインプラントを埋入すると本数が増えて費用も期間も膨らみます。オールオン4は本数を4本に抑えることで、費用と身体的負担を下げるのが基本的な考え方です。
なぜ4本で支えられるのか
前方2本を垂直に、後方2本を約30〜45度傾けて埋入するのが特徴です。傾斜させることで、骨が痩せやすい奥歯側を避けながら、長いインプラント体を骨のしっかりした部分に固定できます。
この設計により、通常なら骨造成が必要なケースでも手術を回避できることがあります。骨造成を省ければ、治療期間が数か月短縮され、費用も抑えられます。

費用の目安
| 範囲 | 費用目安 |
|---|---|
| 片顎(上顎または下顎) | 200〜600万円 |
| 上下顎(全顎) | 400〜1,200万円 |
幅が大きいのは、人工歯の素材とインプラント体のメーカーによって価格が大きく変わるためです。詳しい内訳はオールオン4の費用相場のページで解説しています。
なお、オールオン4も医療費控除の対象です。200万円の治療なら年収500万円の方で約57万円が還付される計算になります(医療費控除の計算方法)。デンタルローンの利用も可能です。
メリット
手術当日に歯が入る
抜歯・埋入・仮歯の装着を1日で行えるため、歯のない期間がほとんどありません。通常のインプラントでは骨結合を待つ3〜6か月間、仮の入れ歯で過ごす必要があります。
固定式で外れない
総入れ歯と違い、着脱の必要がなく、食事中に外れる心配がありません。噛む力も総入れ歯より大幅に回復します。
骨造成を回避できる場合がある
傾斜埋入により、骨が残っている部位を選んで固定できます。「骨が足りないのでインプラントは無理」と言われた方でも、オールオン4なら対応できるケースがあります(骨が少ない場合のインプラント)。
本数を抑えられる
12本分をインプラントで補うと通常は6〜8本の埋入が必要ですが、オールオン4なら4本で済みます。手術時間・身体的負担・費用のすべてが下がります。
デメリットと注意点
費用の大きい治療なので、判断する前に必ず理解しておくべき点があります。
残っている歯を抜く必要がある
オールオン4は片顎すべてを人工歯で置き換える設計です。そのためまだ使える歯が残っていても、原則として抜歯します。これが最も大きな判断ポイントです。
健康な歯が数本残っているなら、部分的なインプラントやブリッジのほうが適している可能性があります。「抜いてでもオールオン4にすべきか」は、必ず複数の医院で意見を聞いてください。
保険が適用されない
全額自己負担です。総入れ歯なら保険適用で1〜3万円程度(3割負担)で作れることと比べると、費用差は非常に大きくなります。
メンテナンスが必須
3〜4か月ごとの定期検診が前提です。怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まり、最悪の場合はインプラント体を失います。4本で12本を支える構造のため、1本失うと影響が大きい点に注意が必要です。
対応できる医院が限られる
傾斜埋入の設計、抜歯即時埋入、当日の仮歯製作と、要求される技術と設備の水準が高い治療です。実施している医院は多くありません。詳しくはオールオン4の医院選びをご覧ください。
やり直しが難しい
歯を抜いてしまうため、後から「やめておけばよかった」となっても元には戻せません。不可逆的な治療であることは強く意識してください。
詳細はオールオン4のデメリットのページで解説しています。
向いている人・向いていない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| ほとんどの歯を失っている | 健康な歯が多く残っている |
| 総入れ歯が合わない・外れる | 費用を抑えたい |
| 着脱の手間をなくしたい | 定期通院が難しい |
| しっかり噛めるようにしたい | 手術を避けたい |
| 骨が足りず通常のインプラントを断られた | 喫煙・糖尿病のコントロールが不良 |
治療の流れ
- カウンセリング・精密検査:CT撮影で骨の量と質を確認
- 治療計画・見積もり:埋入位置のシミュレーション、素材の選択
- 手術当日:抜歯 → インプラント埋入 → 仮歯の装着(4〜6時間)
- 治癒期間:3〜6か月。仮歯で生活しながら骨結合を待つ
- 最終的な人工歯の装着
- 定期メンテナンス:3〜4か月ごと
手術当日に仮歯が入りますが、治療が完了するのは半年〜1年後です。仮歯の期間は硬いものを避けるなどの制限があります。
総入れ歯との比較
| 項目 | オールオン4 | 総入れ歯(保険) |
|---|---|---|
| 費用(片顎) | 200〜600万円 | 1〜3万円(3割負担) |
| 固定 | 固定式 | 着脱式 |
| 噛む力 | 天然歯の70〜90% | 天然歯の20〜30% |
| 味覚・温度 | 感じやすい | 上顎が覆われ感じにくい |
| 手術 | 必要 | 不要 |
| 作り直し | 不要(メンテナンスのみ) | 数年ごとに調整・作り直し |
費用差は非常に大きい一方、噛む力と生活の質には明確な差があります。詳しくはオールオン4と総入れ歯の比較をご覧ください。
よくある質問
Q. 本当に4本で足りるのですか?
A. 骨の状態が良好であれば4本で機能します。ただし骨質や噛む力によっては5〜6本を推奨される場合があります(オールオン6等)。本数は医師の診断によります。
Q. 何歳まで受けられますか?
A. 上限年齢はありません。70代・80代でも全身状態が安定していれば可能です。ただし骨粗鬆症の薬剤(ビスホスホネート系)を服用している場合は、事前に必ず申告してください。
Q. 手術は痛いですか?
A. 手術中は麻酔で管理されます。範囲が広いため、静脈内鎮静法を併用する医院が多いです。術後は腫れと痛みが2〜3日続くのが一般的です(痛みについて)。
Q. 失敗するとどうなりますか?
A. インプラント体が骨と結合しない場合、除去して数か月後に再埋入します。4本のうち1本の脱落でも設計の見直しが必要になるため、術前のCT診断の精度が重要です(再治療について)。
自由診療に関する情報開示
- 治療内容:片顎4本のインプラント体を顎骨に埋入し、その上に固定式の人工歯を装着する外科処置を伴う治療
- 標準的な費用:片顎200〜600万円(自由診療・保険適用外)
- 治療期間・回数:6か月〜1年・通院10回前後
- 主なリスク・副作用:術後の腫れ・痛み・出血、骨結合不全による脱落、インプラント周囲炎、下顎における神経損傷、上顎洞への影響。残存歯の抜歯が必要で不可逆的。全身状態や服薬内容により治療を受けられない場合があります
上記は一般的な目安です。実際の費用・期間・適応の可否は、必ず担当の歯科医師の診察を受けてご確認ください。
監修者プロフィール

監修:TOSHI(歯科医院経営コンサルタント)
歯科医院の経営・集患支援を専門とするコンサルタント。複数の歯科医院の経営改善・マーケティング支援に携わり、インプラント治療を提供する医院の診療体制・設備・費用設計の内側を熟知している。患者の立場から「本当に信頼できる医院とは何か」を発信するため、本サイトを運営。
まとめ
オールオン4は、多数の歯を失った方にとって噛む力と生活の質を大きく回復できる治療です。手術当日に歯が入り、着脱の必要もありません。
一方で、片顎200〜600万円という費用、残存歯の抜歯、対応医院の少なさという現実もあります。特に「歯を抜いてしまうと元に戻せない」点は、決断前に十分に考えるべきです。
最低でも3院でカウンセリングを受け、「本当に全部抜く必要があるのか」「他の選択肢はないのか」を確認してから判断してください。
